技術部ネットワーク課の二之宮です。
はじめに
最近、光ケーブルを初めて購入しました。
あらかじめ、購入する光ケーブルの仕様などの情報を準備して選定を始めたのですが、進めていくと、想定していなかった選択肢が出てきましたので、それらについて調べました。
準備していた情報
光の伝搬モード | 芯数 | 端子 | 長さ | 数量 |
---|---|---|---|---|
マルチモード | 2 | LC-LC | 2.0m | 1 |
シングルモード | 2 | LC-LC | 2.0m | 1 |
シングルモード | 2 | SC-LC | 1.5m | 1 |
想定していなかった選択肢
様々な光ケーブル
光ファイバーの両端に LC や SC の端子が付いたもの以外にもいくつかの種類がありました。
MTP/MPOコネクタの光ケーブル
8芯や 12芯などの複数の光ファイバーを束ねたコネクタ。
今回は LC や SCコネクタのものが必要でしたので、対象外でした。特殊な光ケーブル
過酷な状況や高密度配線に対応したものなど。
今回は恵まれた環境のデータセンター内で、数本から十数本程度の密度で配線する用途でしたので、対象外でした。ピッグテール光ケーブル
光ファイバーの方端のみに端子が付いていて、もう方端は融着などの方法で接続するもの。
今回は、両端に LC や SC の端子が付いたものが必要でしたので、対象外でした。
マルチモードファイバーの規格
マルチモードファイバーの 4つの規格が選択できました。
規格によって伝送距離が違いますが、今回は 10GbE で 1.5~2m の距離でしたので、どれを選んでも問題ありませんでした。
規格 | 10GbE の伝送距離 |
---|---|
OM5 | 400m |
OM4 | 400m |
OM3 | 300m |
OM1/OM2 | 33m/82m |
被覆の素材
燃えた時の性質が異なる 2つの素材が選択できました。
素材 | 燃焼時の性質 |
---|---|
LSZH(Low smoke zero halogen) | 有毒ガスが少ない |
PVC(Polyvinyl chloride,ポリ塩化ビニル) | 有毒ガスが多い |
LSZH は燃えた時に煙や有毒ガスの発生が少ないそうです。
但し、ほとんどの光ケーブルが PVC製で、LSZH製の光ケーブルは種類が少なかったので、PVC製を選びました。
難燃性
難燃性は、米国防火委員会(NFPA) の NEC規格が 2種類選択できました。
規格 | 説明 |
---|---|
OFNP (Optical Fiber Nonconductive Riser) | 最も難燃性が高い |
OFNR (Fiber Optic Non-Conductivity Plenum) | 垂直配線で要求される |
今回は、そもそも国内のデータセンターで使用することと、また、OFNR より難燃性の要求が低い水平配線で使用することから、どちらを選んでも問題ありませんでした。
コネクタの先端の研磨方法
2種類の研磨方法が選択できました。
研磨方法 | 反射減衰量 | 注意 |
---|---|---|
UPC (Ultra Physical Contact) | 50dB 以上 | |
APC (Angled Physical Contact) | 60db 以上 | 他の研磨方法と互換性なし |
APC研磨の方が反射減衰量が大きく高性能ですが、他の研磨方法と互換性が無く、対向側が他の研磨方法だと接続できないとのことで、UPC研磨を選択しました。
光ケーブル選定に必要な情報まとめ
今回の光ケーブルの選定で必要な情報は以下の通りでした。
情報 | 例 |
---|---|
光ケーブルの種類 | 光パッチケーブル,ピッグテール光ケーブル,・・・ |
光の伝搬モード | シングルモード,マルチモード |
マルチモードファイバーの規格 | OM5, OM4, ・・・ |
芯数 | 1芯,2芯,・・・ |
被覆 | PVC, LSZH |
難燃性 | OFNP, OFNR, ・・・ |
両端のコネクタの種類 | LC-LC, SC-SC, ・・・ |
コネクタ先端の研磨方法 | UPC, APC, ・・・ |
長さ | 1m, 1.5m, ・・・ |
数量 | 1, 2, 3, ・・・ |
おわりに
想定していなかった選択肢は、今回の用途に限ると、どれを選んで
も良いものでした。
しかしながら、今後、今回よりも広帯域の用途や長距離の用途で光ケーブルを選ぶ場合は、マルチモードファイバーの規格やコネクタ先端の研磨方法
には留意する必要があることが分かりました。