シナプスの技術部ネットワーク課の末吉と申します。
弊社ではISP事業を行っており、AS(Autonomous System:自律システム)を運用し、他社が運用しているASとピアする事で全インターネットへの到達性を確保しています。 他社ASとピアする際のピアリングポリシーに関する話を書きたいと思います。
ピアリングポリシーとは
そもそもピアリングとは何なのか?という所ですが、お互いが運用している通信機器を接続(ピア)する事で、ピアするにはお互いに接続交渉(ピアリング)を実施し、合意の元にピアする事でお互いの通信を実現しています。
ピアリングポリシーとはピアリングする際のポリシーという事になります。
05/23に開催された大阪ピアリングフェスティバル2019に参加した際の弊社ピアリングパーソナルを元に説明させて頂きます。 大阪ピアリングフェスティバルとは
AS番号/ブランド名
弊社が運用しているAS番号は「7511」、ブランド名は「SYNAPSE」となります。
ピアリングポリシー
弊社はピアに関してトラフィック交換が○Mbps以上等の制限は特に設けておらず、OPENとなっています。
ピアをして頂ける企業様(特にコンテンツ事業者様)を随時募集しています、現在接続しているIXの帯域もまだ余裕がありますので弊社とのピアリングにご興味のある企業様は是非ご連絡頂けたらと思います。
トラフィックボリューム
実際にどの程度のトラフィックが流れているのか?という所ですが、ピークでインバウンドトラフィックが10Gを超えてくるようになり、06/05に過去最高の11.5Gを記録しこれからもトラフィックが伸びていくと予想しています。
ほとんどがインバウンドのトラフィックとなっており、ユーザーのダウンロードトラフィックが大きいです。逆にアウトバウンドトラフィックはあまり流れておらず、このあたりの帯域を有効活用できないかと検討しています。 弊社ではトラフィックを公開していますので、ご興味がありましたらご確認ください。
ノード設置場所
実際に弊社とピアできる場所が、IXのJPIX Tokyo, BBIX Tokyoとなります。弊社は鹿児島を拠点として活動していますが、鹿児島で他のASと接続する事が難しく専用線を使用し東京で接続拠点を持ち、東京のIX JPIXとBBIXに接続しています。
現在は東京だけの接続ですが、ピアリングパーソナルの画像で赤文字で大きく記載した通り、2019年内には大阪でピアが出来る様にする予定です。大阪に接続拠点を持ち西日本を拠点とされているAS、企業様とピアさせて頂くことによって、西日本側向けのトラフィックを東京ではなく大阪で折り返す事ができ、ユーザーの通信環境の改善を期待しています。
現状での西日本向けのトラフィック
大阪拠点開設後の西日本向けのトラフィック
ピア先に求めるもの
ピアをする事でお互いに近くなり、低遅延で安定した通信になる事を期待しています。
AS64497とピアしていない場合
AS64497とピアしている場合
上記の図の様に直接ピアする事により、通信環境の改善が期待できます。
2019/06/20 訂正と追記
上記の「ピア先に求めるもの」について、当初、実在するAS番号にて記載していましたが、記事中のAS番号はドキュメント用のAS番号を使用した方が良いとのご指摘をいただきました。確認したところ、RFC5398にドキュメント用で使用するAS番号に関する記述がありました。
IANA Considerations
IANA has reserved a contiguous block of 16 Autonomous System numbers from the unallocated number range within the "16-bit" number set for documentation purposes, namely 64496 - 64511
引用元:RFC 5398
ドキュメント用のAS番号として 64496 - 64511 が予約されているとの事で、上記の「ピア先に求めるもの」の図及び文章は、RFCに合わせて修正しました。ご指摘ありがとうございました。
ピアをするメリット
鹿児島の地域ISPのエンドユーザーとのトラフィックを交換する事ができます。最近ではeスポーツが盛り上がってきており、格闘ゲームはエンドユーザー同士が直接トラフィックを交換することもあり、通信環境をよりよく出来ると思います。
おわりに
駆け足ではありましたが、簡単に弊社のピアリングに関して説明させて頂きました。 弊社とのピアリングにご興味のある企業様は、PeeringDBに連絡先を記載しておりますので是非ご連絡頂けたらと思います。